鳩山家の食卓

衆院選まで一週間。朝日新聞の夕刊では、先週「党首が行く」と題し、連日各党党首についてコラム記事を掲載していました。その中で私の目を引いたのは、民主党党首の鳩山由紀夫代表の回でした。といっても、私が注目したのは、記事の内容ではなく、実は一緒に載っていた写真の方です。自宅で食卓を囲む鳩山夫妻の姿を写した一枚ですが、くつろいだ笑顔の鳩山代表、そして、テーブルの上に並んだ料理…。そう、このお料理にこそ、私の目は奪われてしまったのです。「全国を飛び回る日々が続く中、妻・幸さんとの朝食が唯一の息抜き」というキャプションを見ると、どうやらこれは朝食らしい。料理の内容が紹介されているわけではなので、正確にはわからないけれど、土鍋の中には、おかゆらしきご飯、小さなお皿や小鉢には、野菜やおしんこ、煮物など、シンプルかつヘルシーで、それがとっても美味しそう!器もいかにも高そうというわけではないけれど、さり気なく趣味の良いものが並んでいます。
若い頃は、朝食というともっぱらパンが多かった我が家も、年齢を重ねる連れ、ごはん派に傾いて来ています。そんなこともあって、なおさらこのある日の鳩山家の朝食にそそられるものを感じたのかもしれません。
さて、「これはどこの漬け物かしら」「なんの煮物かしら」などとあれこれ想像しながら、ひとしきりおいしそうな写真を眺めたあと、肝心の記事も読みました。「名門一族の長男であり、政界屈指の資産家だけにその弁がどこか生活実感を欠いている嫌いはぬぐえない。…庶民宰相と呼ばれた祖父鳩山一郎が庶民ではなく、自分もまた庶民になれないことはよくわかっているが、だからこそせめて心を寄せる謙虚さは保ちたいと言い聞かせ、政界を志した頃に妻とそろいで買った安物の指輪を放さないのも自分を戒める意味があってのことだろう。」という一文を目にして、前述の食卓の写真にも何となくその謙虚さと姿勢のようなものが表れているように感じたのは、気のせいでしょうか。たった一枚の写真のイメージで投票するわけではないけれど、同じ名門でも金持ち意識丸出しでどこにも謙虚さが感じられない麻生自民党総裁より、少なくとも鳩山民主代表に私は好感を持ったのでした。