2012-01-01から1年間の記事一覧

気になる書評19

やっと秋らしい気候になってきました。そろそろじっくり読書もいいかも。■長い道 [著]宮崎かづゑ■療養所での樹木のような70余年 ハンセン病を発症して10歳のとき(昭和13〈1938〉年)に瀬戸内海にある長島愛生園に入園し、以来70年以上を園内で…

気になる書評18

今や日本人の3人に一人ががんになると言われる時代。もしも自分ががんになったら、どうするのか、 そのヒントになりそうな一冊。■がん放置療法のすすめ—患者150人の証言 [著]近藤誠 ■どのように生きていきたいか 慶応大学医学部放射線科講師の近藤誠が乳…

気になる書評17

日本の肖像画を紐解く視点が面白そう。●肖像画の時代?中世形成期における絵画の思想的深層 [著]伊藤大輔■似絵・僧侶像の従来説に挑戦 定説に疑問をぶつけることは勇気を要する冒険だ。勇敢な本書は、「昔の日本に肖像画がなかったのは、リアルに描かれた自分…

気になる書評16

寒ーい毎日。外出もおっくう。こんな時は、少し重いテーマの本をじっくり読んで過ごすのもいい。●隔離の文学?ハンセン病療養所の自己表現史 [著]荒井裕樹■文学への衝動生んだ葛藤 かつてハンセン病は一等国には相応(ふさわ)しくない「国辱病」とされ、後進…

気になる書評15

怪奇と幻想のあやしい世界を描く江戸川乱歩。うーん、興味深い!●乱歩彷徨?なぜ読み継がれるのか [著]紀田順一郎■創造と人生の闇、謎鮮やかに 一人の芸術家の華々しい誕生と、その後の芸術寿命を襲う老化現象と葛藤しながらの創造と人生のはざまで、苦闘と苦…

気になる書評14

今年第一弾もやっぱりミステリーから。●吸血鬼と精神分析 [著]笠井潔■戦後思想を問う本格ミステリ バスティーユにある要塞(ようさい)のようなアパルトマンで、ルーマニアからの亡命者が惨殺される。床に残された“DRAC”の血文字。本格ミステリにふさわ…