ハードな一日

昨日は、某大手出版社の雑誌の取材で、朝早く新幹線で大阪へ。取材相手にインタビューして、とんぼ帰りで東京に戻ってくるあわただしい一日でした。
地方取材といっちゃえば、聞こえがいいかもしれないけれど、温泉&グルメ付きみたいなおいしい仕事なんて、めったにあるものじゃございません。たいていは、こんな風に目的地を往復するだけで終わるわけで、楽しいことなんてありゃしない。話しを聴く時間より、往復の移動時間の方が長いなんてことだって、しょっちゅうです。「ライターって、いろんな所に行けていいね」っていう人にひとこと。確かに、いろんな所に行けるけど、観光旅行とは、違うんじゃい!

さて、昨日の取材は、「介護の体験談」という重ーいテーマでした。こういう苦労話しに何時間も耳を傾けるのって、かなりの忍耐がいるものです。体験談て、だいだい話しが長くなる。質問にちゃんと答えてくれるといいんだけど、どんどんとりとめがなくなってくるのよね。しかも話し出すと止まらなくなる人が多いから困っちゃう。自分のことをたくさん語りたい、その気持ちはよくわかるけど、こちらの集中力にも限度があるし、正直「もううんざり!」ってこともあるのです。
でもね、相手はとにかく懸命に話してくれているわけだから、やっぱりこちらも真剣に聴かなくちゃ、っていう気持ちも一方ではある。何より、記事にするわけだし、いいかげんに聞き流すことなんてやっぱりできないよね。それに、体験から出てくる言葉って、すごく深くて、ときには、心を打たれたり、感心させられたり。だから、やめられないんだけどね。
とにかく、ライターって、体力も神経も消耗するし、イメージよりずっとハードな仕事ですよ。
昨日もおよそ3時間、たっぷり語っていただきました。

それにしても、介護関連の本は、最近ますます増えてきています。
帰路の新幹線の中、ビジネスマンに混じって、京都や名古屋から「おばさん旅行グループ」が大勢乗ってきました。おばさんグループって、とにかくうるさい。乗ってから降りるまで、大声でずっとしゃべりっぱなし。「そのはた迷惑なパワー、何とかならないの」といつも感じていたけれど、介護の体験談を聴いたせいか「この中にも、1年365日のほとんどを家族の介護に費やしている人がいるのかもしれない」と、ふと考えたりして。たった数日、いえ1日でも、気のおけない友人や仲間たちと旅に出て、辛い日常を忘れ、言いたいこと言って、自分の時間を取り戻しているとしたら。そう思うと、大声のおしゃべりも笑い声も何だか許せる気になりました。